人材を活かす社長対談シリーズ
タイコ エレクトロニクス アンプ株式会社 江部秀代表取締役社長
江部秀代表取締役社長
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武原誠郎イムカ株式会社社長
タイコ エレクトロニクス アンプは世界最大級の電子部品総合メーカーである米タイコ エレクトロニクスの日本法人。外資系企業でありながら、日本での歴史は古く、1957年に日本における事業を開始した。これは外資系企業の日本への単独進出として戦後2番目である。それ以来、今日までの長い実績を支えているのが高いモノづくりの技術力と、独自の企業風土だ。発展を続けるタイコ エレクトロニクス アンプの経営についてイムカの武原誠郎社長が聞いた。
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長く勤めやすい企業カルチャー

武原氏

御社は外資系のよさと日本企業のよさをどのようにミックスさせているのでしょうか?いわば和洋折衷型の経営でしょうか?

江部氏

江部氏写真 当社の特徴は100%外資で、IBMやコカコーラとともに、戦後日本に進出した最初のグループに含まれます。その時から経営方針は変わらないのですが、現在、中国で行われているような、その国の労働力を使って製品を生産し、それを輸出するというのではなく、進出したその国の産業に向けて製品をつくって納入することを目的としてきました。戦後、日本に上陸したときも、日本の家電産業、あるいは自動車産業の成長を見込んで、現地の顧客にフォーカスして仕事を進めました。外資系というと、経営トップが本国から何年かおきに就任するというケースが見られますが、当社では早い時期から現地の日本人を社長に起用して経営を進めてきたことは、評価されると思います。
これは従業員にも良い影響を与え、長く勤めやすいというカルチャーができているのではと思います。

武原氏

従業員は現在、約1,400名とうかがっていますが、そのうち、何割程度が中途採用の方でしょうか?

江部氏

5割程度ではないでしょうか。残りはプロパーですが、中途採用の社員でも20年、30年勤続の社員が多いのも当社の特長です。

語学はあくまで手段。技術・実績を重視

武原氏

キャリア人材の採用の場合、どのような条件が必要となってきますか?

江部氏

やはり外資系ですので、とくに中途入社の場合は語学が堪能なことは当然ですが、それぞれに必要な専門能力、エンジニアリング、ファイナンシャル、あるいはジェネラルな能力などです。私自身は中途採用の方には外資系での経験より、日本企業、とくにメーカー経験者を採用する方が、他社での知識を活かせると申し上げています。

武原氏写真
武原氏

人事考課はどのように行っていらっしゃいますか?

江部氏

キャリア、実績、年齢などを考慮しますが、一番重要なポイントは毎年、上司と面接を行いそこで設定される目標ですね。当社の職能のランクは10ランクありますが、中途の方は入社時にランクが決まりますが、その後は上司との目標設定が重視されます。

武原氏

海外出張も多いのでしょうね

江部氏写真
江部氏

そうですね。頻繁です。海外との電話会議を含め、各ビジネスユニットが定期的に会議を行っておりコミュニケーションを大切にしています。

武原氏

では、英語は相当の能力が求められますね。

江部氏

いえ、私自身、ネイティブではありませんし、まったくできないのでは困りますが、技術なり、キャリアを持っている人は、どんどん海外に派遣することにしています。すると自然に、コミュニケーションする必要に迫られ、できることになります。昔のように「英語ができる人だけ」ということはありません。逆に英語だけできてもキャリアと実績のない人はダメですね。

武原氏写真
武原氏

外資系という特徴のほかに御社の経営で「これは」ということをお聞かせ下さい。

江部氏

現在、大企業では部門に分けて経営を行っているケースが多く見られます。当社もグローバルで見ると、事業部門ごとに動いていますが、それをひとつの会社としてまとめる経営会議などを重視しており、チームワーク、組織を大切にして仕事をしています。

武原氏

地域社会との関係など、CSRが重視されていますが、御社ではどのような活動を行っていますか

江部氏

モノづくりをテーマに小学生に電気の知識を教えるため、当社から人を出してサークルづくりを行っています。また、夏祭りには、地域の方を招待したり、近くの養護学校へ陶器を焼くお釜を寄付したりしています。

日本人としてのアイデンティティーを大切に

武原氏

変化の激しい時代ですが、御社の将来像をどのように描いていらっしゃいますか

江部氏

江部氏写真 私はちょうど、10年前に社長に就任しましたが、毎年、社員に向かって、グローバルに日本発で何を発信し、どのようにアイデンティティーを確保するか、また現在、中国、インドなどアジアが注目されており、欧米が日本を飛び越えて結びつくのではないかと懸念しており、日本が強いリーダーシップを発揮できるようになることが重要だと語っています。
我々の後に、グローバルでリーダーシップを取れる人を育てていかないとと思っています。そのためには相手のとのコミュニケーション能力が大切です。
日本人はともするとグレーゾーンをつくってしまい、イエスかノーかはっきり言わない。それが相手を混同させてしまいます。こうした点を改善すれば、生産技術の面では、高い技術を誇っていますから、世界の中でもリーダーシップを発揮できると思います。

武原氏

最後にこれからの若い人にメッセージをお願いいたします。

江部氏

タイコ エレクトロニクス アンプ株式会社 ロゴ われわれの時代と異なり、これからは海外に出て行かなければいけませんし、海外との絡みは避けて通れません。ですから、日本人であるということを自覚し、また、誇りをもち外国人の文化をキッチリ勉強して相手と接しないと、誰からも尊敬されないことになります。日本人としてのアイデンティティーを大切にして欲しいと思います。

武原氏

世界中を相手にビジネスを展開されていますが、事業の基本は日本という風土に根ざし、地道にモノづくりに取り組まれてきた御社の生き方は、グローバル化が進む中で、今後の日本企業にとって大いに参考になりますね。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。

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